## ドッブの価値と分配の諸理論の仕組み
ドッブは、マルクス経済学の立場から、価値と分配の問題について独自の理論を展開しました。彼の理論は、古典派経済学とマルクス経済学の双方から批判的に継承したものであり、現代の経済学においても重要な示唆を与えています。
価値の理論
ドッブは、価値の源泉を労働に見出すという点で、古典派経済学者であるリカードやマルクスと同様の立場をとっていました。彼は、商品に価値を与えるのは、その生産に費やされた社会的必要労働時間であると考えました。
ドッブは、価値の形態について、マルクスの分析を踏襲し、発展させました。彼は、資本主義社会においては、価値は貨幣という形態をとって現れるとしました。貨幣は、他のあらゆる商品の価値を測る尺度となり、交換を媒介する役割を果たします。
分配の理論
ドッブは、分配は生産と独立に決定されるものではなく、生産過程と密接に関連していると主張しました。彼は、分配関係は、階級関係、つまり生産手段の所有関係によって規定されると考えました。
資本主義社会においては、資本家階級が生産手段を私的に所有しており、労働者階級は自分の労働力を売って生活せざるを得ません。この階級関係が、利潤と賃金という分配関係を生み出すとドッブは分析しました。
ドッブは、利潤は、労働者が生産した価値のうち、賃金として支払われた部分を上回る剰余価値から生じると説明しました。彼は、マルクスの搾取論を継承し、利潤は労働者の未払い労働から生み出されると主張しました。
ドッブは、価値と分配の問題について、古典派経済学とマルクス経済学の両方の理論を批判的に検討し、独自の理論を構築しました。彼の理論は、資本主義経済の矛盾を分析し、社会主義への移行の可能性を探る上で重要な視点を提供しています。
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