## ドッブの価値と分配の諸理論
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ドッブの価値と分配の諸理論
モーリス・ドッブは20世紀のイギリスを代表する経済学者の一人であり、マルクス経済学の分野において多大な貢献をしました。特に、価値と分配の問題に関する彼の研究は、マルクス経済学の理解を深める上で非常に重要です。
ドッブは、価値の根源は労働であるというマルクスの労働価値説を支持しました。彼は、資本主義社会における搾取のメカニズムを分析し、利潤、利子、地代といった分配の諸形態が、労働者から剰余価値を抽出することによって生み出されると主張しました。
ドッブは、当時の主流派経済学が、市場における需要と供給の力によって価格が決定されるとする限界効用理論に基づいていることを批判しました。彼は、限界効用理論は、表面的な価格現象を説明することはできても、資本主義経済における根本的な搾取の構造を明らかにすることはできないと主張しました。
ドッブは、価値と分配の問題について、他のマルクス経済学者とも活発な議論を交わしました。特に、彼は、ルドルフ・ヒルファディングやラディスラウス・フォン・ボルトキエヴィチといった、価値の「転形問題」に取り組んだ経済学者たちと論争を繰り広げました。
ドッブの価値と分配の諸理論は、現代のマルクス経済学においても重要な位置を占めています。彼の著作は、資本主義経済の分析のための理論的枠組みを提供し続けており、世界中の経済学者たちに影響を与えています。