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ドッブの「価値と分配の諸理論」の普遍性

## ドッブの「価値と分配の諸理論」の普遍性

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ドッブの価値と分配の諸理論とは

モーリス・ドッブは20世紀のイギリスの経済学者であり、「価値と分配の諸理論」は1973年に出版された彼の主要な著作です。この本は、経済学における価値と分配の問題に対する、アリストテレスから現代の限界主義、さらにはマルクス主義に至るまでの、主要な理論の歴史的発展を追っています。ドッブは、各理論の背景、論理構造、限界を詳細に分析し、それらの理論が互いにどのように関連し、影響を与え合ってきたかを明らかにしています。

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普遍性についての考察

ドッブの「価値と分配の諸理論」における普遍性は、主に以下の2つの側面から考察することができます。

1. **歴史的普遍性**: この本は、古代ギリシャから20世紀後半に至るまで、非常に長い期間にわたる経済思想の歴史を網羅しています。ドッブは、様々な時代や文化における経済思想の多様性を明らかにしながらも、価値と分配という根本的な問題に対する人間の思考の連続性も浮き彫りにしています。
2. **理論的普遍性**: ドッブは、古典派経済学、マルクス経済学、新古典派経済学など、一見対立する様々な経済理論を、それぞれの内部論理と歴史的文脈に基づいて、体系的に分析しています。彼は、特定の理論を擁護したり、断定的な結論を導き出したりするのではなく、読者がそれぞれの理論の強みと弱みを自ら判断できるような客観的な視点を提供することに努めています。

しかし、ドッブの分析は、彼自身のマルクス経済学的な立場に影響を受けていることは否定できません。彼は、資本主義経済における階級関係と搾取の構造に特に重点を置いており、これが彼の価値と分配に関する理論理解を形作っています。

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普遍性に対する批判

ドッブの「価値と分配の諸理論」は、経済思想の歴史に関する重要な著作として広く認められていますが、その普遍性についてはいくつかの批判も指摘されています。

* **西洋中心主義**: ドッブの分析は、主に西洋の経済思想に焦点を当てており、非西洋の経済思想や伝統については十分に扱われていません。
* **特定の理論への偏り**: ドッブは、マルクス経済学に共感を寄せており、彼の分析は他の理論よりもマルクス経済学に好意的なものとなっているという批判があります。
* **現代経済学への言及の不足**: この本は1973年に出版されたため、その後の経済学の発展、特にゲーム理論や行動経済学などの新しい分野については扱われていません。

これらの批判にもかかわらず、「価値と分配の諸理論」は、経済学における根本的な問題について考える上で、今日でも重要な視点を提供する古典的な著作と言えるでしょう。

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