## ドストエフスキーの貧しき人びとの面白さ
ドストエフスキーの処女作にして、その後の作家活動の礎となった作品
「貧しき人びと」は、1846年に発表されたドストエフスキーの処女作です。この作品は、当時のロシア社会に蔓延する貧困問題を正面から描いた社会派小説として、文壇から高い評価を受けました。若き日のドストエフスキーの才能が爆発した作品であり、その後の代表作「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」といった深淵な人間ドラマへと繋がる、作家活動の原点と言えるでしょう。
手紙という形式が織りなす、登場人物たちの息づかい
本作は、貧しい遠縁同士であるマカール・ジェーヴチキンとヴァルワーラ・ドブロセーロワが、互いの窮状を訴え、励まし合う手紙のやり取りによって物語が進行します。この手紙形式によって、登場人物たちの置かれた状況、心情、そして人間関係が、よりリアルに読者に伝わってきます。
貧困や社会的不正に対する彼らの怒り、絶望、それでもなお希望を捨てまいとする姿、ささやかな喜びに心震わせる様子は、手紙という私的な空間であるがゆえに、より鮮明に、そして痛々しく描かれています。読者は、まるで彼らの人生を覗き見ているかのような感覚に囚われ、その世界に引き込まれていくのです。
当時のロシア社会の現実を浮き彫りにするリアリズム
「貧しき人びと」は、当時のロシア社会に蔓延する貧困、格差、官僚主義の腐敗などを、赤裸々に描き出した作品でもあります。作者ドストエフスキー自身の貧困体験も反映されているとされ、その描写は生々しく、読者に強烈なインパクトを与えます。
物語はフィクションながらも、当時の社会問題や人々の生活をリアルに再現することに成功しており、19世紀ロシアの社会状況を理解する上でも重要な作品と言えるでしょう。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。