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ドストエフスキーの虐げられた人びとの対称性

## ドストエフスキーの虐げられた人びとの対称性

対称性1:手紙の形式

「虐げられた人びと」は、マカールとヴァルヴァラの往復書簡という形式で書かれています。 この形式自体が、二人の関係における一種の対称性を表しています。 二人は社会的地位や年齢、性格も異なりますが、手紙を通して対等な立場で想いを伝え合います。 また、手紙という形式は、直接的な会話とは異なり、時間的なずれを生み出し、それが二人の感情のすれ違いや、お互いへの依存と束縛を際立たせる役割を果たしています。

対称性2:虐待の構造

マカールとヴァルヴァラは、それぞれ異なる形で虐待を受けています。 マカールは上司であるブイコフから、ヴァルヴァラは後見人のビストリコフとその娘アンナ・フョードロヴナから、それぞれ搾取や嫌がらせを受けています。 二人の境遇は一見異なるように見えますが、どちらも権力関係の中で弱い立場に置かれ、搾取されているという点で共通しています。

対称性3:救済者と被救済者の逆転

物語の前半では、マカールはヴァルヴァラにとって経済的な援助者であり、精神的な支えでもあります。 しかし、物語が進むにつれて、二人の立場は逆転していきます。 ヴァルヴァラは、マカールの苦境を知り、彼を助けようとします。 この救済者と被救済者の関係の逆転は、二人の関係の不安定さと、お互いへの依存心の強さを示しています。

対称性4:愛と自己犠牲

マカールとヴァルヴァラは、お互いに対する深い愛情を抱いています。 しかし、その愛情表現は、自己犠牲的な行動に傾倒していく傾向があります。 マカールはヴァルヴァラを養うために無理な仕事を引き受け、ヴァルヴァラはマカールを救うために自分の身を犠牲にしようとします。 このような自己犠牲は、二人の愛の深さを示すと同時に、それが依存や束縛へと繋がっていく可能性も示唆しています。

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