ドストエフスキーの白夜の原点
ドストエフスキーの置かれた状況
1848年、「白夜」が発表された頃、ドストエフスキーは27歳でした。前年には処女作「貧しい人々」で文壇に華々しくデビューし、批評家からは「新しいゴーゴリ」と賞賛されていました。しかし、その後発表した作品は「貧しい人々」ほどの評価を得られず、ドストエフスキーは作家としての将来に不安を抱えていました。
ペテルブルクという舞台
「白夜」の舞台は、ドストエフスキー自身が実際に住んでいたサンクトペテルブルクです。当時、ペテルブルクはロシア帝国の首都として繁栄していましたが、その一方で、貧富の格差や社会の矛盾も深刻化していました。「白夜」に登場する主人公の「夢想家」も、そうしたペテルブルクの街を彷徨いながら、孤独や疎外感を抱える若者の一人でした。
ロマン主義の影響
「白夜」は、当時のロシア文学に大きな影響を与えていたロマン主義の影響を強く受けています。特に、主人公の繊細な心理描写や、幻想的な雰囲気、恋愛への憧憬などは、ロマン主義文学の特徴をよく表しています。
ゴーゴリの影響
ドストエフスキーは、ロシア文学の巨匠ニコライ・ゴーゴリを深く敬愛しており、ゴーゴリの作品から大きな影響を受けていました。「白夜」にも、ゴーゴリ文学の影響は色濃く見られます。例えば、「白夜」の主人公が「ペテルブルクの街を彷徨う夢想家」である点は、ゴーゴリの小説「外套」の主人公と共通しています。また、「白夜」に見られる幻想的な雰囲気や、社会に対する風刺なども、ゴーゴリ文学の影響と言えるでしょう。