## ドストエフスキーの永遠の夫の力
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「永遠の夫」とは何か
「永遠の夫」とは、ドストエフスキーの1870年の作品に登場する、一見無力そうに見えるも、その実、不思議な力を持つ男性像を指します。具体的には、主人公アレクセイ・イワノヴィッチの元恋人ナスターシャの葬儀に現れ、その後も彼に付きまとうパヴェル・パヴロヴィチが、この「永遠の夫」に当たります。
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パヴェル・パヴロヴィチの持つ力
パヴェル・パヴロヴィチは、社会的地位も経済力も高くありません。しかし、彼はある種の不思議な魅力と、人の心を揺さぶる力を持っています。
まず、彼はその無邪気さ、無頓着さで、アレクセイを翻弄します。ナスターシャとの過去の恋愛を語りながら、同時に現在の妻への愛情を語り、アレクセイを当惑させます。
また、パヴェル・パヴロヴィチは、常に受け身の姿勢を取りながらも、アレクセイの心を深くかき乱していきます。彼は、まるでアレクセイの心の奥底にある罪悪感や不安をあぶり出す鏡のような存在として機能します。
さらに、彼はアレクセイの婚約者であるリザに接近し、無邪気な言動で彼女の心を揺さぶります。これは、パヴェル・パヴロヴィチが、意識的にせよ無意識的にせよ、他者の関係性に介入し、混乱を引き起こす力を持っていることを示唆しています。
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「永遠の夫」の力の源泉
パヴェル・パヴロヴィチの力の源泉は、彼の持つ「無意識」の力、そして「過去」と「女性」への執着にあると考えられています。彼は自らの行動の動機や意味を深く理解しているわけではありません。しかし、だからこそ彼の行動は、アレクセイの理性的な思考や道徳観念を揺さぶり、深層心理に直接訴えかける力を持つのです。