ドストエフスキーの未成年を読んだ後に読むべき本
**サルトル著 嘔吐**
ドストエフスキーの『未成年』は、若きアルカージー・ドルゴルーキーの、愛、お金、社会における自分の居場所をめぐる苦悩に満ちた旅を通して、人間の心理の深淵を探求する作品です。読者は、アルカージーの激しい自己分析、道徳的な葛藤、複雑な人間関係に翻弄されることになります。『未成年』を読み終えた後、多くの人が、人間の存在の根底にある不安や疎外感、自由意志や目的といったテーマをさらに深く掘り下げた作品を求めるのではないでしょうか。まさにそこで、実存主義文学の代表作であるサルトルの『嘔吐』の登場となります。
『嘔吐』は、ロカンタンという歴史家が、フランスの小さな町で突然、存在そのものの不条理さに圧倒され、吐き気を催すような感覚に襲われる物語です。ロカンタンは、自分自身を含むすべてのものが、本質的に無意味で不確かであることを認識し始め、深い不安と嫌悪感に陥ります。彼は、歴史研究、恋愛、人間関係を通してこの感覚から逃れようとしますが、すべてが空虚で不満足なものに感じられます。
『未成年』と『嘔吐』の共通点は、人間の経験における不安や疎外感を探求していることです。両作品とも、社会の偽善性、人間の欲望の破壊的な性質、自己欺瞞の脆さといったテーマに取り組んでいます。しかし、『未成年』は、アルカージーの苦悩を、より心理学的かつ感情的な視点から探求しているのに対し、『嘔吐』は、ロカンタンの経験を通して、実存主義哲学をより直接的に探求しています。
『嘔吐』を読むことで、読者はドストエフスキーの探求したテーマを、異なる視点から考察することができます。サルトルの実存主義的レンズを通して、読者は、人間の自由、責任、存在の意味といった概念を深く掘り下げ、アルカージーの旅を新たな視点で見つめ直すことができるでしょう。