## ドストエフスキーの未成年の案内
登場人物
* **アルカジイ・マカロヴィッチ・ドルゴルーキー**: 主人公。19歳の青年。私生児として育ち、屈折した性格を持つ。
* **ヴェルシーロフ**: アルカジイの(恐らくは)実父。アルカジイの母を捨てた過去を持つ。
* **カテリーナ・ニコラエヴナ・アフティルコワ**: ヴェルシーロフの愛人。美貌を持つ未亡人。
* **リザヴェータ・プロコーフィエヴナ・ホーフラコワ**: アルカジイの母の友人。裕福な未亡人。
* **アンドレイ・ペトローヴィチ・ヴェルホーヴェンスキー**: 革命を企てる秘密結社のリーダー。
* **ニコライ・イワノーヴィチ**: アルカジイの家庭教師。
あらすじ
19歳の私生児アルカジイ・ドルゴルーキーは、自分の出自に強い劣等感を抱きながら、ペテルブルクで一人暮らしている。彼は、疎遠だった父親と思われるヴェルシーロフと再会するが、ヴェルシーロフはアルカジイの母親を不幸にした張本人であり、複雑な感情を抱く。
アルカジイは、金持ちになることで社会的地位を得て、復讐を果たそうと画策する。彼は、リザヴェータという裕福な未亡人の養女と結婚しようと目論むが、結局は失敗に終わる。
一方、ヴェルシーロフはカテリーナという美貌の未亡人と愛人関係にあるが、彼女をめぐってアルカジイと対立する。アルカジイは、カテリーナに恋心を抱きながらも、彼女を利用して金を得ようとする。
物語は、アルカジイ、ヴェルシーロフ、カテリーナ、そして彼らを取り巻く人々の愛憎劇が複雑に絡み合いながら、悲劇的な結末へと向かっていく。
テーマ
* **父と子の葛藤**: 父親不在の中で育ったアルカジイの苦悩、実父ヴェルシーロフとの愛憎入り混じった関係を通して、家族のあり方を問う。
* **金と欲望**: 金に対するアルカジイの執着、それを利用しようとする狡猾さ、一方で純粋さを失わない一面を描くことで、人間の欲望の複雑さを浮き彫りにする。
* **愛と自己犠牲**: 愛を求めながらも、自己中心的で歪んだ愛情表現しかできないアルカジイ、一方、自己犠牲的な愛を示す女性たちの姿を通して、真の愛とは何かを問いかける。
* **社会と個人**: 当時のロシア社会における階級差別、貧富の格差、社会的不平等などが、アルカジイの境遇や行動に大きな影響を与えていることを描き出す。
特徴
* **一人称小説**: 語り手であるアルカジイの主観を通して物語が語られるため、彼の複雑な心理描写が特徴的。
* **長編で複雑な構成**: 多くの登場人物が登場し、それぞれの思惑が交錯する複雑な展開を見せる。
* **哲学的・思想的なテーマ**: ドストエフスキー特有の深遠なテーマが、登場人物たちの行動や対話を通して描かれる。
* **未完成**: ドストエフスキーは、この作品を未完のままにしており、結末は読者の解釈に委ねられている。