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ドストエフスキーの悪霊の感性

## ドストエフスキーの悪霊の感性

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虚無主義と信仰の対立

「悪霊」は、19世紀後半のロシア社会における思想的混乱を背景に、虚無主義、唯物論、社会主義といった思想に染まった若者たちの姿を描いています。作中で描かれる虚無主義は、伝統的な価値観や道徳、信仰を否定し、生の目的や意味を見出せない状態を指します。特に、主人公スタヴローギンは、ニヒリズムに深く囚われた人物として描かれ、その言動は周囲に混乱と破滅をもたらします。

一方、作品内には、シトーヴ老人やキリーロフといった、信仰に生きる人物も登場します。彼らは、理性や論理を超えた神への信仰を表明し、苦悩と矛盾に満ちた現実の中で、精神的な支えを見出そうとします。

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父と子の対立、世代間の断絶

「悪霊」は、伝統的な価値観と新しい思想の間で揺れ動くロシア社会において、父親世代と息子世代の断絶を描いています。ステパン・トロフィーモヴィッチとワルワーラ・ペトロヴナは、旧世代のリベラルな知識人を象徴する存在として描かれ、彼らの思想は息子世代からは時代遅れと見なされています。

一方、ピョートル・ヴェルホヴェンスキーやニコライ・スタヴローギンといった息子世代は、旧世代の思想に反発し、新しい社会の実現を目指します。しかし、彼らの多くは、理想と現実のギャップに苦しみ、過激な思想に走ったり、虚無感にさいなまれたりする姿が描かれます。

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罪と贖罪、魂の救済

ドストエフスキー作品全体に通底するテーマとして、「罪と贖罪」があります。「悪霊」においても、登場人物たちは、自らの犯した罪や、社会全体の罪悪感に苦悩する姿が描かれています。特に、スタヴローギンは、過去の罪の意識に苛まれ、自らを罰しようとするかのような行動を取ります。

また、作品内では、苦悩する魂が救済を求める姿も描かれます。ソーニャやリーザといった女性たちは、愛と献身を通じて、罪を犯した者や苦しむ者の魂を救おうとします。

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