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ドゥオーキンの権利論の普遍性

## ドゥオーキンの権利論の普遍性

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ドゥオーキンにおける「権利」の位置づけ

ドゥオーキンは、功利主義を批判し、個人の権利を重視する立場からリベラリズムを擁護した法哲学者として知られています。彼にとって「権利」とは、個人が国家や社会の多数派の意思決定から免れ、一定の自由や利益を享受することを保障する、いわば「切り札」のようなものです。ドゥオーキンは、個人の権利を尊重することが、政治的決定の正しさの根拠となると主張しました。

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「権利としてのトランプ」と普遍性の問題

ドゥオーキンは、著書『Taking Rights Seriously』の中で、権利を「トランプ」にたとえています。これは、権利が他の政治的価値、例えば公共の福祉や社会全体の利益よりも優先されるべき「切り札」のようなものであることを示す比喩です。しかし、この「権利としてのトランプ」という考え方は、権利の普遍性をどのように説明するのかという問題を提起します。もし権利が、特定の文化や社会における慣習や合意に基づくのではなく、普遍的な道徳原理から導き出されるものであるならば、その根拠を明確に示す必要があるからです。

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平等と尊厳に基づく権利の根拠づけ

ドゥオーキンは、権利の普遍的な根拠を、すべての人間が持つ「平等な道徳的価値」と「尊厳」に見出します。彼によれば、すべての人間は、その能力や社会的地位、人種や性別などに関係なく、等しく尊重され、尊 dignity を認められる権利を持っています。そして、この平等な道徳的価値と尊厳を守るために、個人の権利は不可欠なものであるとドゥオーキンは主張します。

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普遍性と文化的多様性の調和

しかし、権利の普遍性を主張することは、文化的多様性と対立するものでしょうか?この問題に対して、ドゥオーキンは、権利の普遍性と文化的多様性は両立しうると考えています。彼は、権利の概念自体は普遍的なものですが、具体的な権利の内容やその適用範囲は、それぞれの社会の文化や歴史的背景によって異なっていてもよいと主張します。重要なのは、いかなる文化においても、人間の平等と尊厳を保障するという、権利の根底にある普遍的な価値が尊重されなければならないということです。

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