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ドゥオーキンの権利論の周辺

## ドゥオーキンの権利論の周辺

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リベラリズムにおける位置づけ

ドゥオーキンは、現代のリベラリズムを代表する思想家の一人として位置づけられています。リベラリズムは、個人の自由や権利を重視する政治思想ですが、その内部には多様な立場が存在します。ドゥオーキンは、特にジョン・ロールズの思想を批判的に継承しつつ、「権利に基づくリベラリズム」を主張しました。

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ロールズとの対比

ロールズは、「正義論」において、社会の基礎となるべき正義の原理を、「原初状態」と「無知のヴェール」という思考実験を用いて導き出そうとしました。一方、ドゥオーキンは、ロールズの議論が、個人の権利を十分に尊重していないと批判しました。

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具体的な論点

ドゥオーキンは、ロールズの「格差原理」が、個人の選択の自由を不当に制限する可能性を指摘しました。また、「原初状態」における人々が、自分自身の具体的な価値観や人生計画を持たないという想定にも疑問を呈しました。ドゥオーキンは、正義の原理は、個人の権利を最大限に尊重する形で構成されるべきだと主張しました。

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権利の根拠

ドゥオーキンは、個人の権利を、単なる法的・政治的な概念ではなく、道徳的な概念として捉えました。彼は、「権利としてのトランプ」という比喩を用いて、権利が、他の価値や目標よりも優先されるべき強い道徳的力を持ち合わせていることを説明しました。

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「権利としてのトランプ」

この比喩は、ゲームにおけるトランプのように、権利が他の考慮事項を「切り札」として覆すことができることを意味しています。つまり、個人の権利は、社会全体の利益や幸福などの他の価値よりも優先されるべき場合があるという考え方です。

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法と道徳の関係

ドゥオーキンは、法と道徳を密接に関連づけた議論を展開しました。彼は、「法の帝国」において、法解釈は、単に条文の文言を解釈するだけでなく、その背後にある道徳的な原理を明らかにする作業でもあると主張しました。

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「解釈的アプローチ」

ドゥオーキンは、裁判官が、過去の判例や法原則を参照しつつ、個々の事件において最も道徳的に正当な解釈を導き出すべきだと考えました。この考え方は、「解釈的アプローチ」と呼ばれ、法実証主義のような形式的な法解釈論とは一線を画すものです。

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