ドイルのバスカヴィル家の犬を読む前に
シャーロック・ホームズが初めての人におすすめの読み方
シャーロック・ホームズシリーズは長編と短編合わせて全60作品あり、『バスカヴィル家の犬』はその中の1つに過ぎません。ですが、ホームズ作品をこれから読み始めようという人にとっても、『バスカヴィル家の犬』はうってつけの作品です。楽しめます。
シャーロック・ホームズには、 “A Study in Scarlet”(緋色の研究)、 “The Sign of Four”(四つの署名)という長編2作品がすでに発表されていますが、『バスカヴィル家の犬』は3作目の長編小説です。
興味深いことに、『バスカヴィル家の犬』は、ホームズとその相棒ワトソンの「その後」を描いた作品でありながら、ホームズが活躍する推理小説としても独立しており、この作品単独でも楽しむことができます。
そのため、シャーロック・ホームズシリーズを初めて読む方でも、この作品から読み始めても問題なく、物語の世界に没頭することができます。
時代背景を押さえる
『バスカヴィル家の犬』は、1901年から1902年にかけて執筆され、物語の舞台はヴィクトリア朝後期のイギリス、特にロンドンとデボンシャーの荒涼とした地であるダートムアが舞台となっています。
この時代は、産業革命の影響で社会が大きく変化し、階級格差や貧困、犯罪などが深刻化していました。また、科学技術の進歩と伝統的な価値観との間で揺れ動く人々の姿も描かれています。
当時の時代背景を知ることで、登場人物たちの言動や社会状況、物語に深みが増すでしょう。
ゴシック小説の要素を楽しむ
『バスカヴィル家の犬』は、古典的なゴシック小説の要素がふんだんに盛り込まれた作品です。
荒涼とした湿地帯、古びた屋敷、夜霧に包まれた風景、そして不気味な伝説など、ゴシック小説特有の雰囲気を楽しむことができます。
特に、バスカヴィル家の呪いとされる巨大な魔犬の描写は、恐怖と不安をあおり、物語に緊張感を与えています。
ゴシック小説の要素に注目しながら読むと、より一層作品の世界観に引き込まれるでしょう。