トルストイの戦争と平和の関連著作
フランス革命とナポレオン時代の歴史書
* **「フランス革命史」 トーマス・カーライル著 (1837年)**
イギリスの歴史家であるカーライルが著した、フランス革命の全体像を描いた monumental な作品です。トルストイは本書を詳細に研究し、「戦争と平和」の執筆において歴史的な背景や状況を理解する上で大きな影響を受けたとされています。特に、民衆の力や歴史における英雄の役割についてのカーライルの解釈は、トルストイの作品にも反映されています。
* **「ナポレオン時代史」アドルフ・ティエール著 (1823-1827年)**
フランスの政治家であり歴史家であったティエールが、ナポレオン時代の政治、外交、軍事などを包括的に描いた作品です。ティエール自身はナポレオン時代に生まれ、その後のフランス政治においても重要な役割を果たした人物であり、本書は当時の状況を理解する上で貴重な資料となっています。トルストイは本書を参考に、ナポレオンの性格や当時の政治状況、戦争の経過などを詳細に描写しました。
ロシア文学における関連作品
* **「死者の魂」 ニコライ・ゴーゴリ著 (1842年)**
ロシア社会における腐敗や道徳的な問題を風刺的に描いた作品です。トルストイはゴーゴリの写実的な描写や社会批判に影響を受けたとされ、「戦争と平和」においても当時のロシア貴族社会の虚栄や堕落を描写する際に、ゴーゴリの影響が見られます。
* **「父と子」イワン・ツルゲーネフ著 (1862年)**
世代間の対立と、当時のロシアにおける西欧思想の影響を受けた若者たちの葛藤を描いた作品です。トルストイはツルゲーネフと親交があり、お互いの作品に影響を与え合いました。「戦争と平和」に登場する、ピエールやアンドレイといった、理想と現実の狭間で葛藤する若い貴族の姿は、「父と子」の影響を受けていると考えることもできます。
軍事思想・戦略に関する著作
* **「戦争論」カール・フォン・クラウゼヴィッツ著 (1832年)**
プロイセンの軍人であり軍事学者であったクラウゼヴィッツが、自身の戦争経験を踏まえ、戦争の本質や戦略、戦術について考察した古典的な著作です。「戦争は政治の延長線上にある」という彼の主張は、戦争と平和の関係性を描いた「戦争と平和」のテーマとも深く関わっています。トルストイはクラウゼヴィッツの思想を研究し、戦争の非合理性や残酷さを描く上で参考にしています。
これらの著作は、「戦争と平和」が描かれた時代背景やテーマを理解する上で重要な作品であり、トルストイの作品世界をより深く理解する助けとなるでしょう。