トルストイのセヴァストーポリ物語に関連する歴史上の事件

「セヴァストーポリ物語」は、19世紀半ばにロシア帝国とオスマン帝国、イギリス、フランス、サルデーニャ王国との間で勃発したクリミア戦争を背景に描かれています。この戦争は、バルカン半島におけるロシアの南下政策と聖地エルサレムの保護権をめぐる宗教的な対立をきっかけに勃発しました。

物語の舞台となるセヴァストーポリは、クリミア半島南西部に位置する重要な港湾都市であり、ロシア黒海艦隊の拠点でした。1854年9月、連合軍はセヴァストーポリに上陸し、1年以上にわたる包囲戦を開始しました。トルストイ自身も、砲兵将校としてセヴァストーポリ防衛戦に参加し、壮絶な戦闘体験をしています。

長引く包囲戦の末、セヴァストーポリは1855年9月に陥落し、ロシア軍は敗北を喫しました。この敗北は、ロシア国内に大きな衝撃を与え、軍事および社会体制の改革の必要性を痛感させることになりました。戦争は1856年のパリ条約によって終結し、ロシアは黒海における軍事的な優位性を失いました。