トルストイのアンナ・カレーニナの原点
プーシキンの未完の小説
トルストイは、アレクサンドル・プーシキンの未完の小説「客人たちがツァールスコエ・セローに集まった時」から「アンナ・カレーニナ」の着想を得た可能性が指摘されています。この作品には、社交界の華やかな女性が、最終的に悲劇的な結末を迎える姿が描かれています。トルストイ自身、プーシキンの作品に影響を受けたことを認めており、「アンナ・カレーニナ」の執筆中に繰り返し読み返していたと言われています。
1870年代のロシア社会
「アンナ・カレーニナ」の舞台となる1870年代のロシア社会は、激動の時代でした。農奴解放令によって社会構造が大きく変化し、人々の価値観も大きく揺れ動いていました。トルストイは、当時の社会における女性の立場や、結婚や恋愛に対する考え方に強い関心を抱いており、それらを作品に反映させています。
トルストイ自身の経験
トルストイは、自身も複雑な恋愛経験を持つ人物でした。結婚後も他の女性に恋心を抱いたり、結婚生活に苦悩したりするなど、自身の経験が「アンナ・カレーニナ」の登場人物たちの心情描写に反映されていると言われています。
実在の事件
1872年、トルストイが住んでいた地方の駅で、若い女性が列車に飛び込んで自殺するという事件が起こりました。この事件は、トルストイに大きな衝撃を与え、「アンナ・カレーニナ」の重要なモチーフの一つとなりました。トルストイは、この事件をきっかけに、人間の心の闇や社会の矛盾について深く考えるようになったと言われています。