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トルストイの『戦争と平和』とアートとの関係

## トルストイの『戦争と平和』とアートとの関係

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芸術の虚偽性

トルストイは『戦争と平和』の中で、当時のロシアの上流階級における芸術、特にオペラやバレエ、古典的な絵画などを痛烈に批判しています。彼はこれらの芸術を、人々の心を現実から遊離させ、真の人間的な感情や生活から遠ざけるものとみなしました。

例えば、主人公の一人であるアンドレイ公爵は、オペラを「不自然な見せ物」と呼び、その作為的な歌声や演出に嫌悪感を示します。また、ピエールもまた、上流階級の人々が芸術を単なる社交の道具としてしか見ていないことに失望し、その空虚さに気づきます。

トルストイは、真実を追求し、人間存在の根源的な問題を探求する芸術こそが真の芸術であると主張しました。彼にとって、『戦争と平和』自体が、歴史の真実と人間の生の真実を描いた、真の芸術作品となることを目指した試みでした。

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真の芸術の探求

トルストイは、『戦争と平和』の中で、真の芸術とは何かを探求しています。彼は、人間の感情や経験を直接的に表現する民衆芸術や、歴史的事実をありのままに伝える歴史書などに高い価値を見出しました。

作中では、ロシアの農民たちが自然と一体となり歌い踊る場面や、兵士たちが戦場で口ずさむ歌などが印象的に描かれています。これらの場面は、作為的な芸術とは対照的に、人間の生の喜びや悲しみ、力強さをありのままに表現するものとして描かれています。

また、トルストイは歴史書のような客観的な視点でナポレオン戦争を描写することにこだわり、歴史の真実をありのままに伝えようとしました。彼は、歴史小説という形式を通して、歴史という壮大なドラマの中に人間の真実を見出そうとしたのです。

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