## デューイの論理学 探求の理論の構成
第I部 探求としての論理
本書は、伝統的な論理学の形式主義と心理主義の両方を批判し、論理学を人間の探求の過程として捉え直すことを目指しています。まず、第1章「探求と経験」において、デューイは、私たちが世界と相互作用し、問題に直面し、解決策を探求する中で知識が生まれてくると主張します。
第II部 探求のパターン
第2章から第6章までは、探求の具体的なプロセスが分析されます。第2章「データとしての事態」では、探求の出発点となる「不確定な事態」がどのように生じるのか、そしてそれがどのように「探求のデータ」として機能するのかを説明します。続く第3章「探求におけるアイデアの役割」では、問題解決のために仮説やアイデアがどのように形成され、利用されるのかを論じます。第4章「探求における推論」では、観察結果から結論を導き出す推論の過程が、演繹と帰納の両方を包含する形で説明されます。第5章「探求の質的および関係的段階」では、探求が進むにつれて、当初は曖昧だった問題が明確化され、関係性が明らかになっていく過程を明らかにします。そして第6章「判断の役割:統制と主張」では、探求の最終段階における判断の役割、すなわち得られた結論を検証し、主張として確立するプロセスを解説します。
第III部 論理形式の自然史
第7章から第14章までは、具体的な探求の場面から一歩引いて、論理学の基本的な概念や形式がどのように生じてきたのかを歴史的に考察します。第7章「経験における論理形式の起源」では、人間の生物学的、社会的活動における問題解決の必要性から、論理的な思考形式が自然発生的に生まれてきた過程を説明します。続く第8章から第14章までは、概念、命題、演繹、帰納、分類、定義、誤謬といった論理学の主要なテーマを、探求の過程と関連付けながら詳細に分析していきます。
第IV部 探求としての科学的探求
第15章から第21章では、探求の最も洗練された形態として、科学的探求に焦点が当てられます。第15章「探求の二つのレベル」では、日常的な探求と科学的探求の違いを、その目的、方法、扱う対象の点から明らかにします。続く第16章から第21章までは、観察、実験、測定、統計、理論構築といった科学的方法が、探求の過程のどの段階でどのように機能するのかを具体的に解説していきます。
第V部 探求としての論理:その一般的特徴
最後の2章では、本書全体を総括し、デューイの論理学の全体像が示されます。第22章「論理理論の検証」では、デューイ自身の論理学が、他の論理学と比較してどのような特徴を持ち、どのような貢献をしているのかを論じます。そして最終章である第23章「論理学と道徳科学」では、論理学が単なる思考の技術ではなく、より良い社会を実現するための実践的な知恵であることを強調し、本書は締めくくられます。