## デューイの論理学 探求の理論と時間
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デューイの論理学における「状況」と時間
ジョン・デューイの論理学、特に彼の主著『論理学:探求の理論』(1938) において、時間は静的なものではなく、探求の過程と不可分に結びついた動的なものとして理解されています。デューイは、人間の思考は抽象的な観念を扱うのではなく、具体的な「状況」の中で生じる問題解決的な活動であると捉えました。そして、この「状況」は時間的に変化するものであり、固定的なものではありません。
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探求における時間の役割
デューイによれば、探求は不確実な状況から問題が生じるところから始まります。この不確実性は、過去の経験と現在の状況との間の断絶、あるいは既存の知識と新たな状況との間の不一致によって引き起こされます。探求はこの不確実性を解消し、状況をより満足のいくものへと変革することを目指します。
この過程において、時間は以下の点で重要な役割を果たします。
* **問題の形成と明確化:** 探求の開始時点で、問題は漠然として明確でないことが多いです。時間をかけて状況を分析し、関連する情報を収集することで、問題は次第に明確化されます。
* **仮説の形成と検証:** 問題を解決するために、私たちは仮説を立て、それを検証します。この検証は、時間をかけて観察、実験、分析などを繰り返すことで行われます。
* **知識の成長:** 探求を通じて得られた知識は、将来の探求の基盤となります。時間は、知識を蓄積し、洗練していく上で不可欠な要素です。
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時間と経験の連続性
デューイは、時間を「経験の連続性」として捉えました。過去、現在、未来は、それぞれ独立したものではなく、互いに影響し合うものです。過去の経験は現在の状況を理解する枠組みを提供し、現在の行動は未来の可能性を形作ります。
探求は、この時間的な連続性の中で行われます。私たちは過去の経験から学び、現在の状況を分析し、未来の可能性を探ります。時間を通じて経験を積み重ね、知識を洗練していくことで、私たちはより良い問題解決者へと成長していきます。