デューイの経験と自然の面白さ
経験と自然の連続性
デューイは、従来の哲学が経験と自然を二元論的に捉えてきたことを批判し、両者の連続性を強調しました。彼によれば、経験は人間を含む自然の一部であり、人間は環境との相互作用を通じて経験を形成していきます。この考え方は、自然と切り離された抽象的な存在としての人間観を否定し、自然の中に位置づけられた存在としての人間を理解する新たな視点を提供します。
探求としての経験
デューイは、経験を静的なものではなく、絶えず変化し続ける動的なプロセスとして捉えました。彼は、経験を「探求」という言葉を用いて表現し、人間は環境との相互作用を通じて常に新たな問題や課題に直面し、それらを解決しようと試みる存在であると主張しました。この「探求としての経験」という考え方は、人間の知性の本質を、受動的に知識を吸収するのではなく、能動的に世界と関わりながら知識を創造していくプロセスとして捉え直すものです。
芸術経験の重視
デューイは、芸術経験を人間の経験の中でも特に重要なものとして位置づけました。彼によれば、芸術作品は、作者の経験が凝縮されたものであり、鑑賞者は作品に接することで、作者の経験を追体験し、自身の経験を豊かにすることができます。また、芸術作品は、日常的な経験を新たな視点から見せることで、私たちに世界の新たな側面を気づかせてくれる可能性も秘めています。デューイは、このように芸術経験が人間の経験の質的向上に大きく貢献すると考えました。
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