## デューイの経験と自然に匹敵する本
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ウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」
「論理哲学論考」は、20世紀の哲学、特に分析哲学に多大な影響を与えた書物です。ウィトゲンシュタインは、言語の論理構造を分析することによって、哲学的問題の多くが誤解に基づいていることを明らかにしようとしました。
「経験と自然」と同様に、「論理哲学論考」は、従来の哲学の枠組みを超えた、新しい哲学的思考を提示した点で画期的です。デューイが経験の全体性を強調したように、ウィトゲンシュタインは言語の全体性を重視し、意味は個々の語ではなく、言語ゲームと呼ばれる文脈の中で生成されると主張しました。
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ハイデガー「存在と時間」
「存在と時間」は、20世紀の現象学、実存主義、解釈学などに大きな影響を与えた哲学書です。ハイデガーは、西洋哲学が「存在」の意味を問い直すことを怠ってきたと批判し、「現存在」としての人間の存在構造を分析することを通じて、存在の本来的な意味を明らかにしようとしました。
「経験と自然」と「存在と時間」は、ともに人間と世界との関係を根本的に問い直すことを目指した点で共通しています。デューイが経験を通して人間と世界との相互作用を重視したのに対し、ハイデガーは「世界内存在」としての人間のあり方に焦点を当て、世界への関わりの中で存在の意味が立ち現れることを論じました。