## デューイの「民主主義と教育」の美
デューイの著書『民主主義と教育』(1916年)は、教育を単なる知識の伝達ではなく、民主主義社会の維持と発展に不可欠な要素と捉えています。本書は、教育と社会、個人と共同体の関係を深く探求し、真の教育のあり方とその美しさを鮮やかに描き出しています。
デューイにとって教育の「美」とは、知識の獲得や技能の習得といった狭い意味に留まりません。
それは、個人が社会の中で成長し、他者と協力しながらより良い社会を創造していくプロセスそのものに宿るとされます。
デューイは、伝統的な教育を批判します。
伝統的な教育は、教師から生徒へ一方的に知識を伝達することに重点を置き、生徒は受動的な学習者として位置づけられてきました。このような教育は、デューイによれば、生徒の能動性や創造性を阻害し、民主主義社会に必要な批判的思考力や問題解決能力を育むことができません。
デューイが提唱するのは、「経験主義」と「プラグマティズム」に基づいた、より能動的で実践的な教育です。
生徒は自身の経験を通して学び、問題解決に取り組みながら知識や技能を身につけていきます。教師は、生徒の興味関心を引き出し、探求を促すための「指導者」としての役割を担います。
デューイは、教育における「共同体」の重要性を強調します。
生徒は、教師や他の生徒と協力しながら学びを深め、社会の一員としての責任感を育みます。学校は、単なる教育機関ではなく、生徒が民主主義社会の縮図を経験する場となります。
デューイにとって、民主主義は完成された制度ではなく、絶えず発展していくプロセスです。
そして、教育は、このプロセスを推進する原動力となります。個人が、教育を通して自らの可能性を最大限に開花させ、社会に貢献していくこと。デューイは、ここに教育の真の美しさを見出していると言えるでしょう。