## デューイの「民主主義と教育」とアートとの関係
デューイは自著「民主主義と教育」において、アートを独立した科目として扱うのではなく、経験の質と結びつけ、広く教育全体における重要性を論じています。
デューイにとってのアートとは
デューイにとってアートとは、絵画や彫刻といった芸術作品だけでなく、人間が環境と相互作用し、経験を表現するあらゆる活動を含みます。
日常生活における行為や表現活動も、そこに創意工夫や美的体験が含まれるならば、アートとして捉えることができます。
経験と表現
デューイは、教育の目的を「成長」と捉え、「経験」を通してのみ人は成長できると考えました。そして、経験は受動的に受け取るものではなく、能動的に形成していくものであると主張します。
アートは、まさにこの能動的な経験と深く関わっています。子どもたちは絵を描いたり、歌を歌ったり、物語を作ったりする中で、自らの経験を表現し、意味を与え、再構成していきます。
コミュニケーションと共同体
デューイは、アートを個人の表現活動であると同時に、社会的なコミュニケーションの手段としても捉えています。
アート作品や表現活動を通して、子どもたちは自身の経験や考えを他者と共有し、共感や理解を育むことができます。
このようなコミュニケーションを通して、子どもたちは共同体の成員としての意識を高め、民主主義社会における重要な資質を育んでいくことができます。
想像力と批判的思考力
デューイは、アートが子どもの想像力と批判的思考力を育む上で重要な役割を果たすと考えていました。
アート活動を通して、子どもたちは既存の枠にとらわれず自由に発想し、新しいものを創造する力を養うことができます。
また、作品を批評したり、議論したりする中で、子どもたちは自身の考えを明確化し、他者の視点を取り入れながら、多角的に物事を考察する力を身につけていきます。
民主主義社会におけるアートの役割
デューイは、民主主義社会においては、人々が主体的に考え、判断し、行動することが求められるとしました。
そして、アートは、このような市民を育成するために不可欠な要素であると考えたのです。
アートを通して、子どもたちは感性を磨き、表現力を高め、想像力を育み、批判的思考力を養うことができます。これらの力は、変化の激しい現代社会において、より良い社会を創造していくために必要不可欠なものです。