デュルケームの宗教生活の原初形態の技法
民族誌資料の広範な利用
デュルケームは、オーストラリアのアボリジニ、北アメリカのインディアン、古代ギリシャ、ローマなど、多岐にわたる文化圏の民族誌資料を駆使しました。
これは、彼自身の主張、すなわち宗教は普遍的な現象であり、その本質は最も単純な社会形態において最も明確に観察できるという考えに基づいています。
比較分析
デュルケームは、収集した民族誌資料を比較分析することで、宗教の普遍的な要素を抽出することを試みました。
彼は、一見異なる宗教的実践であっても、共通の基盤を持っていることを明らかにしようとしました。
トーテミズムの重視
デュルケームは、オーストラリアのアボリジニ社会に見られるトーテミズムを、宗教の最も原始的な形態であるとみなし、その分析に重点を置きました。
彼は、トーテミズムにおける聖と俗の区別、儀礼の役割、集合意識の形成といった要素が、他の宗教にも共通して見られることを指摘しました。
社会学的還元
デュルケームは、宗教を個人の心理的な現象としてではなく、社会的な現象として捉え、その起源と機能を社会構造や集団意識といった社会学的概念によって説明しようとしました。
彼は、宗教は社会の統合と秩序の維持に重要な役割を果たすと考えました。