デュマの王妃マルゴから得られるもの
16世紀後半のフランスの歴史と社会の描写
デュマの小説「王妃マルゴ」は、16世紀後半のフランスを舞台に、宗教戦争や宮廷内の陰謀を描いています。 特に、1572年のサン・バルテルミの虐殺を題材とし、当時の社会におけるカトリックとプロテスタントの対立や、権力闘争の生々しさを活写しています。 作中には、シャルル9世、カトリーヌ・ド・メディシス、アンリ・ド・ナヴァール、アンリ・ド・ギーズといった歴史上の実在の人物が多数登場し、それぞれの思惑が複雑に交錯する様子が描かれています。
ロマンスと冒険の要素
歴史小説であると同時に、魅力的なロマンスとスリル満点の冒険が物語に彩りを添えています。 主人公であるマルグリット・ド・ヴァロワ(マルゴ)は、美貌と知性を兼ね備えた女性として描かれ、ラ・モールの伯爵との許されぬ恋に苦悩します。 また、剣豪アンリ・ド・ナヴァールの活躍や、謎の男オルシニの暗躍など、読者を飽きさせない展開が続きます。
人間の愛憎や善悪の複雑さ
登場人物たちは善悪二元論では割り切れない複雑な側面を持ち合わせています。 マルゴは自由奔放な性格で、政略結婚の道具として利用されることに抵抗を感じながらも、愛と権力の間で揺れ動く姿が描かれています。 また、冷酷な策略家として描かれることの多いカトリーヌ・ド・メディシスも、息子への愛情ゆえに行動しているという一面が描かれています。 作中には、愛、憎しみ、野心、嫉妬、友情といった人間の根源的な感情が渦巻き、善悪が複雑に交錯する様子が描かれます。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。