デュマの二十年後に関連する歴史上の事件
フランス二月革命(1848年)
デュマの「二十年後」は、1648年から1651年にかけてのフロンドの乱を描いていますが、この作品が出版された1845年からわずか数年後の1848年、フランスは再び革命の渦に巻き込まれます。七月王政の腐敗や経済危機に端を発した二月革命は、民衆の蜂起によってルイ・フィリップを退位に追い込み、第二共和政が樹立されるという劇的なものでした。
第二共和政の誕生と挫折
二月革命後のフランスは、共和制への期待と同時に、社会不安や政治的混乱に直面していました。労働者階級の権利拡大を求める運動が活発化する一方で、保守派は秩序の回復を望み、社会は大きく揺り動かされます。「二十年後」で描かれる、王権と議会、そして民衆の複雑な力関係は、第二共和政の不安定な状況と共鳴する部分が多く、当時の読者にも強い印象を与えたと考えられます。
ナポレオン三世の登場
1848年の大統領選挙で、二月革命の英雄と祭り上げられたルイ・ナポレオン・ボナパルト(ナポレオン1世の甥)が当選します。彼は当初、共和制の擁護者を装っていましたが、1851年、クーデターによって権力を掌握し、翌年、第二帝政を宣言して皇帝ナポレオン三世として即位します。これは、フランス革命の理念であった自由、平等、友愛が再び踏みにじられるという歴史の皮肉であり、「二十年後」で描かれる権力闘争の結末を彷彿とさせるものでした。