デュマの三銃士の原点
デュマの着想源
アレクサンドル・デュマの冒険小説「三銃士」は、17世紀フランスを舞台に、ダルタニャンという名の貧しい青年が、銃士隊に入隊し、アトス、ポルトス、アラミスという三銃士と出会い、友情を育みながら、様々な陰謀に立ち向かう物語です。
史実とフィクションの融合
デュマはこの物語の着想を、フランス国立図書館で見つけた「ダルタニャン回想録」という書物から得ました。この回想録は、ルイ13世とルイ14世の時代に実在した銃士隊長、シャルル・ド・ باتز=カステルモール伯爵の従僕であったとされるダルタニャンが、自身の体験を語り継がせたものとされています。
脚色された英雄たち
しかし、デュマは回想録の内容をほぼそのまま小説に採用したわけではありません。彼はダルタニャンや三銃士のキャラクター像をより魅力的に脚色し、史実には登場しない事件やロマンスを付け加え、読者を惹きつける壮大な物語に仕立て上げました。
創作の秘密
実際、「三銃士」には、史実と異なる点が数多く見られます。例えば、ダルタニャンは史実ではガスコーニュ地方の下級貴族の出身でしたが、小説では没落した貴族の三男という設定になっています。また、三銃士の名前も、アトスは小説の執筆当時、既に実在の人物がモデルとして特定されていましたが、ポルトスとアラミスは、デュマが別の資料から見つけてきた名前を当てはめたに過ぎないと言われています。
「三銃士」の魅力
このように、「三銃士」は、史実をベースにしつつも、デュマの豊かな想像力によって、大胆に脚色されたフィクション作品と言えます。しかし、だからこそ、時代を超えて愛される普遍的な魅力を備えていると言えるのではないでしょうか。