## デュマのモンテ・クリスト伯の構成
第一部 エドモン・ダンテスの不幸
第一部は、主人公エドモン・ダンテスが陰謀によって無実の罪を着せられ、投獄されるまでを描いています。幸福な将来を約束されていた若者が、絶望の淵に突き落とされる様子が、鮮やかに描かれます。
この部分は、物語の導入として重要な役割を果たしており、読者は主人公に感情移入し、彼の運命を見守りたいという気持ちに駆られます。また、後の復讐劇への布石として、登場人物たちの関係性や、それぞれの欲望が丁寧に描写されています。
第二部 イフ城の虜囚
第二部は、ダンテスが絶海の孤島にある監獄、 イフ城に幽閉されている間の出来事が中心となります。過酷な環境の中、希望を失わず生き抜くダンテスの姿と、老囚人ファリア師との出会いと別れが描かれます。
ファリア師から受けた知的、肉体的な訓練は、後のモンテ・クリスト伯としての彼の礎となります。また、陰謀の真相や、彼を陥れた人物たちの情報を得ることで、ダンテスの復讐心はより強固なものへと変化していきます。
第三部 モンテ・クリスト伯
第三部からは、ダンテスはモンテ・クリスト伯と名乗り、華麗な伯爵として社交界に登場します。過去の自分を葬り去り、目的を果たすために周到に準備を進める様子が描かれます。
この部分では、モンテ・クリスト伯としての知性、財力、人脈を駆使し、かつて自分を陥れた者たちへの復讐劇が繰り広げられます。それぞれの登場人物に対して、彼らの罪の重さに応じた方法で復讐していく様子は、読者に痛快さと同時に、復讐の虚しさをも感じさせます。
第四部 復讐と赦し
第四部は、復讐劇の結末と、モンテ・クリスト伯としての生き方を見つめ直す場面が描かれます。復讐の過程で、無関係な人々を巻き込み傷つけてしまったことに対する苦悩や、真の幸福について考えさせられる場面が続きます。
最終的にダンテスは、復讐の先に真の救いがないことを悟り、自身を苦しみから解放します。そして、愛する者たちとの新たな人生に向けて歩み始める姿が描かれます。