## デュマの「二十年後」の思考の枠組み
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登場人物たちの変化
「二十年後」は、「三銃士」から20年後の世界を舞台に、主要人物たちのその後を描いています。若く希望に満ち溢れていた彼らも、中年期を迎え、社会的地位や環境の変化、そして経験を通して大きく変貌を遂げます。
ダルタニャンは、銃士隊長という高位に就き、かつての勇敢さは保ちつつも、現実的な思考を持つようになります。アラミスは、司祭としての道を歩みながらも、貴族社会への未練を捨てきれずにいます。ポルトスは、裕福な女性との結婚によって富と地位を得ますが、同時に野心と虚栄心を抱くようになっています。
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時代の転換期における対立
物語の背景には、フランスで実際に起こったフロンドの乱が存在します。これは、王権と貴族勢力との間の政治的な対立であり、「二十年後」はこの社会的混乱を色濃く反映しています。
ダルタニャンは、国王側につくことで忠誠心と義務感を示しますが、かつての仲間であるアラミスとポルトスは、反乱軍側に加わります。これは、友情と政治的立場との間で揺れ動く彼らの苦悩を描写すると同時に、時代の変革期における個人の選択と責任を問いかけるものとなっています。
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復讐と赦し
「二十年後」は、「三銃士」で描かれたミレディーとの因縁が再び表面化し、復讐劇が展開されます。ダルタニャンは、過去の出来事に対する罪悪感と、ミレディーの息子に対する複雑な感情を抱えながら、彼女と対峙します。
一方で、アラミスは、ミレディーの息子を救おうと奔走し、過去の過ちを償おうとする姿が描かれます。これは、復讐と赦しという対照的なテーマを通して、人間の心の奥底にある葛藤と救済の可能性を探求しています。