## デフォーのロビンソン・クルーソーを読む
植民地主義の視点から見るロビンソン・クルーソー
ダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』(1719年)は、難破した後、無人島で28年間過ごした男の物語です。この小説は、しばしば無人島生活のサバイバルストーリーとして解釈されますが、当時のヨーロッパ社会における植民地主義の影響を色濃く反映した作品でもあります。
例えば、クルーソーが島に漂着した際、彼はそこを「自分の王国」と宣言し、土地や資源を支配下に置きます。これは、当時のヨーロッパ諸国が、非ヨーロッパ圏を「未開の地」と見なし、自分たちの植民地として支配していた状況を反映しています。
さらに、クルーソーが後に「フライデー」と名付ける原住民との出会いは、植民地支配におけるヨーロッパ人と非ヨーロッパ人の関係を象徴的に表しています。「フライデー」は、クルーソーにとって忠実な召使であり、ヨーロッパ文化やキリスト教を教え込まれる存在として描かれています。
このように、『ロビンソン・クルーソー』は、単なる冒険物語ではなく、植民地主義の視点から読み解くことで、より深く理解することができます。
宗教と自己救済の物語としての解釈
『ロビンソン・クルーソー』は、宗教的な視点からも解釈することができます。クルーソーは、航海の途中で嵐に遭い、無人島に漂着しますが、彼はこれを神の試練と捉え、聖書を読み、神に祈りを捧げることで、絶望的な状況を生き抜こうとします。
彼は、島で自給自足の生活を営み、家畜を飼い、農作物を育てますが、これは勤勉に働くことこそが神の道であるというプロテスタント的な労働倫理を反映しています。また、クルーソーは、「フライデー」をキリスト教に改宗させますが、これは当時のヨーロッパ社会におけるキリスト教の優位性を示唆しています。
このように、『ロビンソン・クルーソー』は、困難な状況においても信仰を持ち、努力することで自己救済を達成するという、当時の宗教的な価値観を色濃く反映した作品として読むことができます。