## デフォーのロビンソン・クルーソーの対称性
ロビンソン・クルーソーにおける時間と構造の対称性
デフォーの『ロビンソン・クルーソー』では、時間の流れと物語の構造にある程度の対称性を見出すことができます。例えば、クルーソーが島で過ごす年月は、日記という形で克明に記録され、読者は彼が経験する日々の変化を追体験することができます。これは、物語の時間とクルーソーが過ごす現実の時間が一致していることを示唆しており、一種の対称性を生み出しています。
また、物語の前半では、クルーソーが文明社会から離れ、孤独な無人島での生活を強いられる様子が描かれます。一方、後半では、フライデーとの出会いや、最終的な島からの脱出といった、再び文明社会と繋がりを取り戻していく様子が描かれます。このように、前半と後半では、文明と孤独という対照的なテーマが反転した形で描かれており、これもまた物語構造における対称性と言えるでしょう。
ロビンソン・クルーソーにおける所有と喪失の対称性
クルーソーは難破によって、それまで彼が当然のように享受していた文明社会のあらゆる物資や人間関係を失います。しかし、彼はその後、自らの力で食料や住居を確保し、さらにはフライデーという仲間を得るに至ります。
このように、クルーソーは物語の中で所有と喪失を繰り返し経験します。これは、彼が置かれた極限状態における人間の強さと脆さを浮き彫りにすると同時に、所有と喪失という対照的な要素が、物語全体を通して繰り返し出現する対称性を生み出していると言えるでしょう。