デフォーのロビンソン・クルーソーの主題
文明と自然
『ロビンソン・クルーソー』は、文明社会から隔絶された無人島でサバイバル生活を送る主人公を通して、文明と自然の関係を描写しています。クルーソーは文明社会で培ってきた知識や技術を用いて、過酷な自然環境に適応しようと試みます。彼は住居を築き、食料を確保し、道具を作り出すことで、自らの手で文明的な生活空間を再建していきます。
一方で、クルーソーは自然の厳しさや脅威にも直面します。嵐、飢餓、野生動物といった自然の脅力は、文明の脆さを彼に突きつけます。彼は自然の中で生きるためには、文明的な価値観や常識にとらわれていてはならないことを学びます。自然の力に畏敬の念を抱き、自然の摂理に適応していくことが、サバイバルには不可欠なのです。
孤独と自立
無人島での孤独な生活は、クルーソーに自己の内面と向き合うことを強います。家族や友人との繋がりを断たれた彼は、孤独と絶望に苛まれます。しかし、彼は絶望に屈することなく、自らの力で生き抜くことを決意します。
クルーソーは孤独の中で、自らの内面に眠っていた強さや忍耐力を発見します。彼は試行錯誤を繰り返しながら、生きるための技術や知識を身につけていきます。そして、孤独を克服するために、信仰心を深め、聖書から精神的な支えを得ようとします。
植民地主義と支配
『ロビンソン・クルーソー』は、当時のヨーロッパ社会に蔓延していた植民地主義的な視点を反映しているとも言えます。クルーソーは無人島を「自分の土地」とみなし、支配しようとします。彼は島に漂着した先住民フライデーを「野蛮人」とみなし、自らの僕として従属させます。
クルーソーの言動は、ヨーロッパ人が非ヨーロッパ圏の人々に対して抱いていた優越意識や支配欲を表していると言えるでしょう。彼は自らの文化や価値観を絶対的なものとみなし、フライデーにそれを押し付けようとします。このようなクルーソーの態度は、当時の植民地支配の現実を反映していると言えます。