デフォーのモール・フランダースを面白く読む方法
モールの心理に注目する
モール・フランダースは、貧困から抜け出すために手段を選ばず、窃盗や詐欺、果ては売春にまで手を染める女性です。その行動は現代の倫理観からすれば到底許されるものではありませんが、デフォーはモールの心情を克明に描写することで、彼女の境遇に対する同情を誘います。読者はモールの心の動きを追うことで、当時の社会における女性の立場や貧困の過酷さを実感し、作品への理解を深めることができるでしょう。
当時の社会背景を考慮する
17世紀から18世紀初頭のイギリスは、ペストの流行やロンドン大火など、社会不安が渦巻く時代でした。貧富の格差も激しく、モールの置かれた境遇は決して珍しいものではありませんでした。当時の社会状況や価値観を理解することで、モールの行動や選択に込められた意味がより深く読み取れるようになるでしょう。
皮肉とユーモアを楽しむ
デフォーはモールの物語を、シリアスなだけなく、皮肉とユーモアを交えて描いています。モールの狡猾さや図々しさを、時にコミカルに、時に痛烈に描き出すことで、読者を飽きさせない工夫が凝らされています。例えば、モールの巧みな話術や、自らの行いを正当化する姿は、滑稽でありながらも、人間の弱さや愚かさを浮き彫りにしています。
モールの変化と成長を見届ける
悪事を重ねながらも、モールは様々な経験を通して、人間として、そして女性としての意識を徐々に変化させていきます。特に、物語後半におけるモールの改心と、その後の波乱万丈な人生は、読者に深い感動を与えることでしょう。モールの成長物語として作品を読み解くことで、単なる悪女の物語を超えた、人間存在の本質に迫るテーマが見えてくるはずです。