## デフォーのモール・フランダースの面白さ
モールのたくましさと狡猾さ
デフォーは、モールの視点から物語を描くことで、彼女のたくましさと狡猾さを生き生きと描き出しています。貧困から抜け出すために、モールはあらゆる手段を尽くします。彼女は自分の美貌と魅力を武器に、男性を誘惑し、金品を貢がせます。必要とあらば、窃盗や詐欺にも手を染め、その度に罪悪感と、生き延びるための正当化の間で揺れ動く様が描かれます。読者は、モールのしたたかさに眉をひそめながらも、そのバイタリティとサバイバル能力に惹きつけられます。
当時の社会の矛盾と不条理の描写
モール・フランダースの物語は、18世紀のイギリス社会における女性の立場、貧富の格差、道徳観の矛盾を浮き彫りにします。女性が経済的に自立することが困難な時代、モールは自らの肉体と知恵を駆使して生き抜こうとします。しかし、社会は彼女に厳しい現実を突きつけます。デフォーは、モールの波乱万丈な人生を通して、当時の社会構造の矛盾と不条理を読者に突きつけます。
リアリティあふれる描写
デフォーは、モールの物語を、まるで実際にあった出来事のように、詳細かつリアルに描写します。当時のロンドンやアメリカの植民地の様子、人々の暮らしぶり、モールの心理描写は、読者を物語の世界に引き込みます。特に、モールの犯行の様子や、罪悪感にさいなまれる心の葛藤は、生々しく描かれており、読者はモールの生き様をより身近に感じ取ることができるでしょう。
picaresque novel (悪漢小説) の要素
モール・フランダースは、picaresque novel の要素を含んでいます。ピカレスク小説の特徴である、悪漢である主人公が、様々な場所を転々とし、冒険を繰り広げ、その中で成長していくという展開が、モールの物語にも見られます。読者は、モールの波乱万丈な人生を追うことで、スリルと興奮を味わうことができます。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。