## デフォーのモール・フランダースの分析
登場人物
* **モール・フランダース（モリー）**: 物語の語り手であり主人公。貧困から抜け出すために手段を選ばず、窃盗や詐欺、売春、重婚などを繰り返す。
* **ジェム**: モリーの最初の夫。絹織物職人。モリーとの間に2人の子をもうけるが、数年で亡くなってしまう。
* **バタビアの男**: モリーがジャマイカで結婚する相手。裕福なプランテーション経営者だが、後にモリーの母親の息子であることが判明する。
* **ジェム（息子）**: モリーと最初の夫の間に生まれた息子。後にバージニア植民地でモリーと再会する。
テーマ
* **社会における女性の立場**: 当時の女性は経済的に男性に依存せざるを得ず、貧困から抜け出す手段が限られていたことをモリーの生き様を通して描いている。
* **道徳と罪の意識**: モリーは数々の悪事を働きながらも、常に罪の意識に苛まれ、改心と堕落を繰り返す。
* **物質主義**: モリーは富や財産への執着が強く、それが彼女を悪事に走らせる一因となる。
* **家族**: モリーは家族との絆に恵まれず、それが彼女の不安定な人生に影響を与えている。
語り口
* **一人称視点**: モリー自身の視点で物語が語られるため、彼女の心情や思考を直接的に理解できる。
* **告白形式**: モリーが自身の半生を振り返り、懺悔するような形で語られる。
* **リアリズム**: 当時の社会状況や人々の生活が詳細に描写され、リアリティを感じさせる。
歴史的背景
* **17世紀末から18世紀初頭のイギリス**: 産業革命の初期段階であり、貧富の格差が拡大していた。
* **植民地主義**: イギリスは海外に進出し、植民地を拡大していた。モリーの物語にも、ジャマイカやバージニアといった植民地が登場する。
* **ピューリタニズム**: 厳格な道徳観が社会に浸透していた時代であり、モリーの罪に対する意識にも影響を与えている。
考察
デフォーの『モルフランダース』は、18世紀初頭のイギリス社会を背景に、一人の女性の波乱万丈な人生を描いた作品です。モリーは貧困や社会の不条理に翻弄され、悪事に手を染めてしまいます。しかし、同時に彼女は常に罪の意識に苦しみ、改心を望み続けます。この作品は、当時の社会における女性の立場や、道徳と罪の意識、物質主義など、様々なテーマを内包しており、現代社会においても多くの示唆を与えてくれます。