## デフォーの『ロビンソン・クルーソー』が関係する学問
啓蒙主義との関係
『ロビンソン・クルーソー』は、しばしば啓蒙主義の理想を体現した作品として解釈されます。
主人公ロビンソンは、理性と観察、そして経験を通して、無人島という過酷な環境を生き抜く術を身につけていきます。彼は聖書や持ち出した道具から知識を得て、農業や牧畜、住居の建築など、文明社会を模倣した生活を自力で確立していきます。
これは、人間が生まれながらにして持っている理性と努力によって、自らの運命を切り開くことができるという啓蒙主義的な人間観を示唆していると言えるでしょう。
植民地主義との関係
一方で、本作は当時のヨーロッパ社会における植民地主義を反映しているという側面も持ち合わせています。
ロビンソンが島に到着したとき、そこは未開の地として描かれ、彼はそこへヨーロッパ文明を持ち込み、支配者として君臨します。彼は後に「フライデー」と名付ける原住民を「救出」しますが、彼を従者として扱い、ヨーロッパ的な価値観を押し付ける様子は、当時の植民地支配の構図を彷彿とさせます。
このように、『ロビンソン・クルーソー』は単に冒険物語としてだけでなく、当時の社会状況や思想を反映した作品として、多角的な視点から読み解くことができます。