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デカルトの省察の光と影

## デカルトの省察の光と影

デカルトの理性主義:近代哲学への輝かしい光

「省察」は、デカルトの合理主義哲学の金字塔として、西洋思想史に燦然と輝く金字塔です。彼は、それまでのスコラ哲学の権威に盲従するのではなく、人間の理性に基づいた確実な知識体系を構築しようと試みました。

その出発点は、「われ思う、ゆえにわれあり」という有名な命題です。あらゆるものを疑うという方法的懐疑を通じて、疑っている自分自身の存在だけは疑いようがないという確実な基礎を見出したのです。

この確実な基礎から出発し、デカルトは神の存在証明や、心身二元論といった重要な哲学的テーゼを展開していきます。神は完全な存在であり、完全な存在は必然的に存在するという論証は、その後の哲学に大きな影響を与えました。また、心と身体を異なる実体として捉える心身二元論は、近代哲学における心身問題の出発点となりました。

懐疑主義の影:克服できない問題

しかし、デカルトの「省察」は、輝かしい光を放つ一方で、いくつかの影も落としています。

まず、方法的懐疑の限界が挙げられます。すべてを疑った末にたどり着いた「我思う」という確実性も、本当に絶対的なものと言えるのでしょうか。懐疑の可能性を完全に排除することはできず、「我思う」が単なる錯覚である可能性も否定できません。

また、心身二元論も多くの問題を抱えています。心と身体が全く異なる実体であるならば、両者はどのように相互作用するのでしょうか。デカルトは松果体という器官を介して相互作用すると説明しましたが、その説得力は乏しく、心身問題の解決には至っていません。

デカルトの遺産:現代思想への影響と課題

このように、「省察」は光と影の両面を持つ著作です。しかし、その後の哲学に与えた影響の大きさは計り知れません。彼の合理主義的思考法、そして心身問題や神の存在証明に関する考察は、現代思想においても重要なテーマとして受け継がれています。

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