Skip to content Skip to footer

デカルトの方法序説の原点

デカルトの方法序説の原点

方法序説執筆の背景

ルネ・デカルト(1596-1650)が『方法序説』を執筆した背景には、当時のヨーロッパにおける学問の状況が大きく関わっています。16世紀から17世紀にかけて、ヨーロッパでは宗教改革や大航海時代を経て、中世以来の権威主義的な学問体系であるスコラ哲学が批判され、新たな知見に基づいた近代科学が台頭しつつありました。

デカルト自身、イエズス会の学校でスコラ哲学を学んでいましたが、その論理偏重で現実世界を説明しきれない点に疑問を抱いていました。また、当時の学問が様々な説が乱立し、確かな知識体系が確立されていない状況にも不満を感じていました。

このような時代背景の中、デカルトは、あらゆる偏見や先入観を捨て去り、確実な真理に基づいた新しい学問体系を構築することを目指しました。そのために、彼が着目したのが「方法」の重要性でした。確実な知識に到達するためには、正しい方法で思考を進めていく必要があると考えたのです。

方法序説の内容と構成

『方法序説』は、デカルトが自身の哲学体系を説明する前段階として、彼が確実な知識に到達するために用いた「方法」を解説した著作です。正式なタイトルは『理性を正しく導き、あらゆる学問において真理を索めるための方法についての序説』であり、副題には「屈折光学」「気象学」「幾何学」に関する試論が含まれています。

本書は全6章からなり、デカルト自身の知的遍歴を語りながら、彼が確実な知識に到達するために用いた四つの規則を中心に、「方法」について解説しています。

* 第一部:良識について
* 第二部:研究のための方法
* 第三部:道徳のための暫定的な規則
* 第四部:真理認識のための基礎
* 第五部:世界の構成に関する物理学的な考察
* 第六部:哲学研究を行うための理由

方法序説における「方法」の重要性

デカルトは、『方法序説』において、確実な知識に到達するためには、正しい「方法」に従って思考を進めていくことが重要だと主張しています。彼は、従来の学問が、先入観や偏見に基づいた曖昧な推論に頼っていたために、様々な誤謬を生み出してきたと批判し、そうした誤謬を避けるためには、明晰で確実な原理から出発し、段階的に推論を進めていく必要があるとしました。

デカルトが提唱する「方法」は、数学的な思考法をモデルとしており、明晰で判明な公理から出発し、段階的な演繹によって複雑な問題を解決していく方法です。この「方法」を用いることで、誰でも確実な知識に到達することができるとデカルトは考えていました。

『方法序説』は、単にデカルト自身の哲学体系を説明するだけでなく、近代科学の成立にも大きな影響を与えた、近代思想の出発点と言える重要な著作です。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5