## テンニエスのゲマインシャフトとゲゼルシャフトの思考の枠組み
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ゲマインシャフト(Gemeinschaft)
– 血縁・地縁に基づく共同体
ゲマインシャフトは、血縁や地縁のような自然発生的な意志に基づいて形成された共同体を指します。家族や村落共同体などがその典型例です。
ゲマインシャフトの特徴としては、次のような点が挙げられます。
* **成員間の結びつきの強さ:** 成員間には、感情的な結びつき、共通の価値観や規範意識、強い相互依存関係が見られます。
* **伝統や慣習への重視:** 長年かけて形成されてきた伝統や慣習が、共同体の秩序や成員の行動規範を規定します。
* **集団主義的な価値観:** 個人の利益よりも、共同体全体の利益や調和を優先する価値観が共有されています。
* **同質性の高さ:** 成員の出身地、職業、価値観などが類似しているため、共同体全体の同質性が高い傾向にあります。
* **変化の少なさ:** 伝統や慣習を重視するため、外部からの影響を受けにくく、変化のスピードが緩やかです。
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ゲゼルシャフト(Gesellschaft)
– 契約に基づく社会
ゲゼルシャフトは、契約や法律といった合意に基づいて形成された社会を指します。都市や近代国家などがその典型例です。
ゲゼルシャフトの特徴としては、次のような点が挙げられます。
* **成員間の結びつきの弱さ:** 成員間の関係は、利害関係や契約に基づくドライなものであり、感情的な結びつきは希薄です。
* **合理性・効率性の重視:** 伝統や慣習よりも、合理性や効率性を重視して、社会制度や組織が構築されます。
* **個人主義的な価値観:** 個人の権利や自由が尊重され、自己実現や利益追求が奨励されます。
* **多様性の高さ:** 様々な地域出身の人々や多様な価値観を持つ人々が集まり、社会全体の多様性が高まります。
* **変化の速さ:** 新しい技術や思想が次々と導入され、社会構造や価値観が大きく変化していきます。
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ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ
テンニエスは、近代化の過程で、伝統的なゲマインシャフトから近代的なゲゼルシャフトへの移行が進むと論じました。
ただし、テンニエスはゲゼルシャフトを必ずしも肯定的に捉えていたわけではありません。彼は、ゲマインシャフトが失われていくことに対する危機感も抱いていました。