ツルゲーネフの父と子を読む前に
ロシアの社会背景を知る
「父と子」は、1860年代のロシアを舞台にしています。これは、農奴解放宣言が出され、ロシア社会が大きく変化していた時代です。古い世代と新しい世代の対立、社会主義思想の台頭、西欧化への憧憬と反発など、様々な問題が渦巻いていました。小説を深く理解するためには、当時のロシア社会の状況や歴史的背景についてある程度知っておくことが重要です。具体的には、農奴制とその影響、西欧主義とスラヴ主義の対立、インテリゲンチャと呼ばれる知識人層の役割などを調べてみましょう。
ニヒリズムについて理解を深める
「父と子」の主人公バザロフは、「ニヒリスト」と呼ばれる思想の持ち主です。ニヒリズムは、当時のロシアで流行した思想の一つで、伝統的な価値観や権威、道徳などを否定することを特徴とします。バザロフの言動は、読者にとって時に理解し難いものかもしれません。ニヒリズムがどのような思想であり、当時のロシアでどのような影響力を持っていたのか、なぜバザロフのような若者がニヒリズムに傾倒していったのかを理解することで、バザロフの行動や葛藤、そして他の登場人物との関係をより深く読み解くことができるでしょう。
登場人物の関係性に注目する
「父と子」は、世代間の対立を軸に、様々な人間関係が描かれています。主人公バザロフと、彼の友人アルカージ、そしてアルカージの父ニコライ・ペトロヴィッチとの関係は、特に重要な要素です。世代間の価値観の違い、愛情と葛藤、友情と裏切りなど、登場人物たちの複雑な関係性に注目することで、小説はより一層深い読後感を与えてくれるでしょう。それぞれの登場人物がどのような生い立ちを持ち、何を考え、どのように行動するのか、彼らの関係性がどのように変化していくのかを読み解いていきましょう。