ツルゲーネフの初恋の原点
ツルゲーネフ自身の体験と初恋
ツルゲーネフの小説「初恋」は、作者自身の青春時代の体験に基づいていることがよく知られています。
作品中の主人公ウラジーミルが恋をするジナイーダは、ツルゲーネフ自身が14歳の時に恋をした、父の愛人であった21歳の女性をモデルとしています。
父セルゲイ・ツルゲーネフとの関係
現実のツルゲーネフの父セルゲイは、ジナイーダのモデルとなった女性と同様に、奔放な女性関係を持つ人物であったと伝えられています。
小説「初恋」でも、ジナイーダの恋人であると同時にウラジーミルの父親でもある人物として描かれ、その複雑な関係性が作品に影を落としています。
1860年の発表と「ハムレットとドン・キホーテ」
「初恋」が発表されたのは1860年、「ハムレットとドン・キホーテ」という評論を発表したのと同じ年です。
この評論の中でツルゲーネフは、人間を2つのタイプに分類し、現実主義者で行動的なドン・キホーテと、理想主義者で内省的なハムレットという対比を提示しました。
「初恋」の登場人物たちも、ある意味ではこの2つのタイプに分類できる側面があり、作品理解の鍵の一つとなっています。