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チョーサーのトロイラスとクリセイデの面白さ

チョーサーのトロイラスとクリセイデの面白さ

トロイ戦争を背景にした恋愛悲劇

「トロイラスとクリセイデ」は、ホメロスが叙述する叙事詩「イリアス」の後日譚として、トロイ戦争を舞台に繰り広げられる悲恋物語です。トロイアの王子トロイラスと、ギリシャ側の預言者カルカスの娘クリセイデの恋の行方を描いています。戦争という大きなうねりの中で翻弄される恋人たちの姿は、愛と運命、自由意志といった普遍的なテーマを浮かび上がらせ、読者の共感を誘います。

中世宮廷風ロマンスの枠組み

チョーサーは、この物語を、当時の貴族社会で好まれた「宮廷風ロマンス」の形式で描いています。騎士道の美徳、崇高な恋愛感情、運命のいたずらなどが巧みに織り交ぜられ、洗練された恋愛物語として読者を魅了します。トロイラスがクリセイデに恋焦がれる様子や、二人の秘めやかな逢瀬、そして別れを惜しむ姿は、宮廷文化の華やかさと哀愁を漂わせています。

登場人物たちの心理描写

チョーサーは、登場人物たちの内面を丁寧に描写することで、物語に深みを与えています。特に、トロイラスの恋の昂りから絶望へと至る心の揺れ動きは、圧巻の筆致で描かれています。また、クリセイデの苦悩や葛藤、そして周囲の人々の思惑なども細かく描写され、物語にリアリティと緊張感を与えています。

チョーサー独特の語り口

「トロイラスとクリセイデ」は、韻文で書かれた長編の物語詩です。チョーサーは、ウィットに富んだ表現や比喩を駆使し、登場人物たちの心情や情景を生き生きと描き出しています。さらに、語り手自身が登場人物に語りかけたり、読者に問いかけたりするなど、独特の語り口で物語を進行させていきます。

中英語で書かれた文学作品

「トロイラスとクリセイデ」は、14世紀後半に書かれた作品であり、当時の英語である中英語で書かれています。現代英語とは異なる文語体の文章は、独特のリズムと美しさを持っています。現代語訳で読むこともできますが、原文で触れることで、より深くチョーサーの世界観を味わうことができます。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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