チョーサーのカンタベリー物語の構成
一般的な枠組み
『カンタベリー物語』は、様々な社会階層に属する巡礼者たちが、サザークのタバート亭からカンタベリー大聖堂のトマス・ベケットの聖廟を目指す旅の枠組みの中で語られる物語集です。
「一般提要」
物語は「一般提要」から始まり、語り手(チョーサー自身と推定される)が春に巡礼者を紹介します。それぞれの巡礼者は、職業や服装、性格などを詳しく描写されます。
物語のコンテスト
宿屋の主人ハリー・ベイリーが提案した物語のコンテストが物語の推進力となります。各巡礼者はカンタベリーへの往復でそれぞれ2話ずつ、計120話の物語を語る予定でした。
未完成の作品
『カンタベリー物語』は未完の作品であり、120話の物語のうち、24話と2話の断片しか完成していません。
物語の順序
物語の順序は明確に定まっておらず、いくつかの物語は他の物語への反応として位置づけられています。例えば、「尼寺長の物語」は「修道士の物語」に対する反論として解釈されます。
多様な物語形式
『カンタベリー物語』は、ロマンス、説教話、寓話、動物譚など、多様な物語形式を含んでいます。この多様性は、登場人物の多様性と同様に、作品の魅力の一つとなっています。
写本による差異
現存する『カンタベリー物語』の写本には、物語の順序や内容に差異が見られます。このため、決定版となるテキストは存在せず、作品の解釈に多様性をもたらしています。