## チューリングの計算機械と知能を面白く読む方法
###
チューリングマシンを身近なものに置き換える
チューリングマシンは、現代のコンピュータの基礎となる抽象的な計算モデルです。しかし、その概念は一見すると難解で、とっつきにくく感じるかもしれません。そこで、チューリングマシンをより身近なもので置き換えて考えてみましょう。
例えば、チューリングマシンを「無限に長い紙テープと、そのテープに記号を読み書きできる機械」と定義づける代わりに、「**料理人の作る無限のお寿司**」と置き換えてみます。
* 紙テープは「**ベルトコンベアに乗って流れてくるシャリの列**」
* 記号は「**ネタの種類**」（マグロ、サーモン、イカなど）
* 機械の内部状態は「**料理人のレシピと現在の作業手順**」
と考えることができます。
###
具体的な例を想像する
抽象的な概念を理解するには、具体的な例を想像することが有効です。例えば、「**２つの数字の足し算を行うチューリングマシン**」を、「**２皿のお寿司のネタの数を合計する料理人**」に置き換えてみましょう。
* 最初にベルトコンベアには、「**マグロが３貫**」と「**サーモンが２貫**」乗った２皿のお寿司が流れてきます。
* 料理人は、まず「**マグロの皿のネタを１つずつ数え**」、その度に「**自分のメモに数を記録**」していきます。
* マグロの皿が空になったら、今度は「**サーモンの皿のネタを１つずつ数え**」、同様にメモに記録します。
* 最後に、メモに記録した数を合計することで、「**合計５貫**」という結果を得ます。
このように、具体的な例を挙げることで、チューリングマシンの動作をよりイメージしやすくなります。
###
「知的かどうか」の議論を楽しむ
チューリングは、論文の中で「機械は思考できるのか？」という問いに対して、「**人間のように会話できる機械を『知的』と呼ぶ**」という独自の定義を提唱しました。これは、後に「チューリングテスト」と呼ばれるようになります。
この「チューリングテスト」は、現在でも人工知能の分野で議論の的となっています。機械が人間のように振る舞うことができたとして、それは本当に「思考」していると言えるのでしょうか？
例えば、「**人間のように自然な会話ができるお寿司屋さん**」がいたとします。
* お客さんの好みに合わせたお寿司を勧めてくれたり、
* 今日のおすすめのネタについて説明してくれたり、
* 時には冗談を言って笑わせてくれたりします。
しかし、そのお寿司屋さんが実は、**あらかじめプログラムされた高度な会話ロボット**だったとしたら？
私たちは、そのお寿司屋さんを「知的」だと判断するでしょうか？それとも、「単にプログラム通りに動いているだけ」だと判断するでしょうか？
このように、「チューリングの計算機械と知能」を読む際には、単に技術的な内容を理解するだけでなく、「**知能とは何か？**」「**人間と機械の違いとは何か？**」といった哲学的な問いについて、自分自身も深く考えてみることをおすすめします。