チャーチルの第二次世界大戦の構成
構成の概要
ウィンストン・チャーチルが著した「第二次世界大戦」は、全6巻からなる大著であり、第二次世界大戦を軸に自身の政治家、そして軍人としての半生を振り返った回顧録である。各巻はそれぞれ独立したテーマと年代順に沿って構成されており、読者はチャーチルの視点を通して、戦争の推移とその裏側にある政治や外交の駆け引き、そして彼の戦略と思想を深く理解することができる。
各巻の内容
第1巻「迫りくる嵐」
は、1919年から1939年9月までの時代を扱っている。第一次世界大戦後のヨーロッパ情勢、ナチス・ドイツの台頭、イギリスの宥和政策などを背景に、チャーチルが政界の野にいる間も、いかにファシズムの脅威を訴え続けてきたかが克明に描かれている。
第2巻「戦いの開幕」
は、1939年9月の第二次世界大戦勃発から1940年5月のチャーチルが首相に就任するまでの激動の8ヶ月間を扱っている。ポーランド侵攻、ノルウェー作戦、そしてフランスの敗北と、連合国側が苦戦を強いられる中、チャーチルが海軍大臣として戦争指導にあたる様子が描かれている。
第3巻「ひとり戦うイギリス」
は、1940年5月から1941年12月の真珠湾攻撃まで、イギリスが単独でナチス・ドイツと戦い抜いた「孤独な戦い」の時代を描く。ダンケルクからの撤退作戦、バトル・オブ・ブリテン、そしてドイツによるロンドン空襲など、イギリス国民が絶望と恐怖に立ち向かいながら、自由と民主主義のために戦った姿を、チャーチルの演説やメモなども交えながら鮮やかに描き出している。
第4巻「転換点」
は、1941年12月の真珠湾攻撃から1943年5月までの連合国側の反撃の開始を扱う。アメリカ参戦による戦争の新たな局面、対日戦争の開始、北アフリカ戦線における戦況の好転など、戦争の趨勢が徐々に連合国側に傾いていく様子が描かれている。
第5巻「締めゆく環」
は、1943年5月から1944年6月のノルマンディー上陸作戦の前夜までを扱う。イタリア戦線における連合軍の進撃、対日戦における反攻作戦の開始、そして来るべきヨーロッパ大陸への反攻作戦の準備など、戦争終結へ向けて着実に進む様子が描かれている。
第6巻「勝利と悲劇」
は、1944年6月のノルマンディー上陸作戦から1945年8月の終戦、そしてその後のポツダム会談までを描く。ナチス・ドイツの崩壊、日本の無条件降伏、そして戦後の世界秩序の形成といった歴史的出来事が、チャーチルの視点から描かれている。