ダーウィンの種の起源の対極
「種の不変性と創造の摂理」
「種の起源」が出版された1859年は、生物学のみならず、西洋思想全体に激震が走った年として知られています。ダーウィンが提唱した自然選択による進化論は、それまでの生物観を根底から覆すものでした。
キリスト教的世界観における種の固定性
19世紀半ばまで、西洋社会ではキリスト教的世界観に基づいた「自然の階梯」という考え方が支配的でした。これは、神が万物を創造した際、無生物から植物、動物、そして人間へと至る序列を定めたとするものです。この階梯の中で、それぞれの種は固定されており、変化することはないと考えられていました。
「種の起源」以前の代表的な自然史
「種の起源」に対極する書物として、18世紀にスウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネが著した「自然の体系」が挙げられます。リンネは、生物を階層的に分類する体系を確立し、その業績は近代分類学の基礎となりました。
リンネ自身は敬虔なキリスト教徒であり、彼が構築した分類体系は神の創造の偉大さを証明するものと捉えられていました。「自然の体系」は聖書の内容を自然科学的に裏付けるものとして、広く受け入れられました。
創造論と進化論
「種の起源」の出版は、創造論と進化論の対立を決定的なものとしました。創造論は、聖書の記述に基づき、神による世界の創造を字義通りに解釈する立場です。一方、進化論は、生物が長い時間をかけて共通の祖先から進化してきたとする科学的な理論です。
「種の起源」は膨大な量の観察と実験に基づいた、進化論を支持する圧倒的な証拠を提示しました。しかし、創造論と進化論の対立は、現代においてもなお続いています。