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ダンテの神曲の技法

## ダンテの神曲の技法

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韻律

「神曲」は全編を通して terza rima と呼ばれる韻律が用いられています。これは、ABA BCB CDC … というように、前の stanza の第2行と次の stanza の第1・3行が韻を踏むという、鎖のように連なる独特の韻律です。この韻律により、作品全体に流れるようなリズムと、先へと読み進めたくなるような推進力が生まれています。

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象徴主義

「神曲」には、寓意的な意味を持つ象徴が数多く登場します。例えば、地獄の門を守る三つの獣は、それぞれ人間の三大悪徳である傲慢、強欲、色欲を象徴しています。また、ダンテを導くウェルギリウスは、理性を象徴しています。このように、象徴を用いることで、ダンテは単なる物語を超えた、より深い道徳的・精神的なメッセージを作品に込めることに成功しました。

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数字の象徴

「神曲」では、数字にも象徴的な意味が込められています。例えば、「3」という数字は、キリスト教の三位一体を象徴しています。地獄、煉獄、天国という三つの世界、それぞれの構成が33歌 Canto + 序章1歌で計100歌という構成など、「3」とその倍数が作品全体にわたって繰り返し登場します。このような数字の象徴は、作品の構造に秩序と統一感を与えています。

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登場人物

「神曲」には、歴史上の人物や聖書の登場人物など、実在の人物が多数登場します。ダンテはこれらの登場人物を、彼らの生前の行いや思想に基づいて、地獄、煉獄、天国のいずれかに配置しています。実在の人物を登場させることで、作品にリアリティと説得力が加わっています。

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ラテン語の影響

「神曲」は、当時の学者たちの間で使用されていたラテン語ではなく、イタリアのトスカーナ地方の方言を用いて書かれました。しかしながら、ラテン語の語彙や文法の影響を強く受けています。ダンテは、ラテン語の荘重で格調高い文体を模倣することで、「神曲」を単なる物語ではなく、不朽の文学作品に高めようとしました。

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