## ダンテの神曲のメカニズム
### 1.
構造
「神曲」は、地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部構成から成り、各篇33歌、計99歌で構成されています。冒頭の1歌を合わせた全100歌は、キリスト教における完全数を表すとされています。
各歌は、 terza rima と呼ばれるaba bcb cdc…という韻律を持つ三行連詩で書かれています。この韻律は、作品全体に安定感とリズム感を与え、読者を引き込む効果を生み出しています。
### 2.
寓意
「神曲」は、単なる旅物語ではなく、寓意に満ちた作品です。ダンテ自身が作品中で明言しているように、「神曲」は文字通りの意味と、その奥に隠された寓意的な意味を持つ多層的な構造となっています。
例えば、主人公ダンテは、単なる旅人ではなく、魂の救済を求める人間全体を象徴しています。また、旅の案内役であるウェルギリウスは、人間の理性や古典文化を象徴しています。
### 3.
登場人物
「神曲」には、歴史上の人物、神話上の人物、そしてダンテ自身の創作による人物など、多数の登場人物が登場します。それぞれの人物は、特定の罪や美徳を象徴しており、ダンテは彼らとの対話を通じて、善悪、罪と罰、救済といったテーマを探求しています。
登場人物たちの配置や描写には、ダンテの思想や当時の社会状況が色濃く反映されています。
### 4.
神学・哲学
「神曲」は、当時のキリスト教神学、特にトマス・アクィナスの思想に深く影響を受けています。地獄、煉獄、天国という三界構造や、罪と罰、救済といったテーマは、キリスト教的世界観に基づいています。
また、アリストテレス哲学の影響も色濃く見られます。例えば、人間の理性と徳の重要性、魂の不死などのテーマは、アリストテレス哲学の考え方に基づいています。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。