ダンテの煉獄篇の面白さ
ダンテの魂の成長を描くドラマ
『神曲』煉獄篇は、ダンテが Beatrice の導きにより、現世と Paradiso(天国)の中間に位置する Purgatorio(煉獄)を登攀する物語です。地獄篇で罪の深淵を目の当たりにしたダンテは、煉獄篇では自身の罪を悔い改め、浄化されていきます。
煉獄山では、七つの大罪(傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲)に対応する七つの段位が設けられています。ダンテは各段位で、罪を悔い改める魂たちの苦しみや希望を目の当たりにし、自らの罪と向き合っていきます。Beatrice との再会を切望しながらも、厳しい試練を乗り越えようとするダンテの姿は、読者に感動を与えます。
詩的な表現と寓意に満ちた世界
ダンテは、煉獄山の風景やそこで出会う魂たちの様子を、比喩や象徴を用いた精緻な詩で描き出しています。例えば、煉獄山の入口を守る天使がダンテの額に刻んだ七つの P (Peccato「罪」の頭文字) は、浄化の過程で一つずつ消えていきます。
また、各段位で出会う魂たちは、ダンテが現実世界で出会った人物や歴史上の人物をモデルにしています。彼らの言動や運命を通して、ダンテは人間の罪の深さや神の愛の偉大さを浮き彫りにしています。
人間存在への問いかけ
煉獄篇は、単なる宗教文学の枠を超えた、人間存在に対する深遠な問いかけに満ちています。ダンテは、罪とは何か、罰とは何か、救済とは何かを問い続け、読者に倫理や道徳、信仰について深く考えさせます。
煉獄を登るダンテの旅は、私たち自身の魂の旅のメタファーでもあります。現代社会においても、煉獄篇が読者に訴えかけるものは色褪せることはありません。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。