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ダンテの煉獄篇の対称性

## ダンテの煉獄篇の対称性

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構造における対称性

煉獄山の構成は、魂が浄化されていく過程と対応するように、厳格な対称性を備えています。

* **煉獄山の構成**: 煉獄山は、逆さまの円錐形をしており、下から順に、**前煉獄**, **煉獄門**, **七つのPurgatorio (浄罪山)** からなります。七つのPurgatorioは、それぞれ七つの大罪 (傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲) に対応する浄罪の場となっています。
* **罪の対応**: 七つのPurgatorioは、その罪の重さ、つまり神への愛からの遠さに応じて配置されています。山の頂上に行くほど、罪は軽くなり、浄化は容易になります。この構造は、人間の魂が段階的に浄化され、神へと近づいていく過程を象徴しています。

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時間における対称性

煉獄篇の時間経過にも、象徴的な対称性が見て取れます。

* **聖週間との対応**: ダンテが煉獄山を登る旅は、聖週間に対応しています。具体的には、ダンテは復活祭の前夜に煉獄山の頂上に到着し、地上楽園へと入ります。
* **詩の構成との対応**: 煉獄篇は、地獄篇と同様に33歌で構成されています。これは、キリストが地上で過ごした33年間を象徴しており、煉獄における魂の浄化と、キリストの受難と復活による人類の救済を重ね合わせています。

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象徴における対称性

煉獄篇には、様々な象徴が対称的に用いられています。

* **光と闇**: 地獄篇が闇の世界であったのに対し、煉獄篇は光に満ちた世界として描かれています。これは、魂が罪から解放され、神へと近づいていく過程を表しています。
* **上昇と下降**: 煉獄篇では、「上昇」が重要なモチーフとなっています。魂は、自らの罪を悔い改め、努力することによって、山を登っていきます。これは、地獄篇における「下降」と対照的であり、煉獄が希望と再生の場所であることを示しています。

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その他

上記の主要な対称性に加えて、煉獄篇には、以下のような対称性も見られます。

* **ダンテとヴェルギリウス**: ダンテは、人間の理性を象徴するヴェルギリウスの導きによって、煉獄山を登っていきます。しかし、煉獄山の頂上、つまり地上楽園に到達すると、ヴェルギリウスは姿を消し、代わりにダンテは、神の愛を象徴するベアトリーチェに導かれることになります。
* **詩の言語**: 煉獄篇で使用されている言語は、地獄篇の粗野な言葉遣いとは対照的に、洗練され、音楽的なものとなっています。これは、魂が浄化され、神聖なものへと近づいていく過程を反映しています。

これらの対称性は、煉獄篇の主題である「魂の浄化と救済」を効果的に表現するために、緻密に計算されたものです。

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